子供が小学生だった頃、剣道の県外大会に一緒に行った時、開会式に国歌斉唱があった。
 見ると、一列全く歌わない列がある。 我が子のグル-プだった。
 後で、「何故歌わない? 何の歌か知っているのか?」と聞いたら、「良く知らない、日本のテ−マ曲」との回答だった。
 暫くして、学校長にこの事を話、国旗掲揚台と国歌斉唱を学校行事の時には必ず行う様にした。

 この時、家庭、社会、国家等について話し合ったが、結論として、個人は家庭の構成員であり、家庭は社会を構成し、その社会は国家に拠って保護されている。 米国の様に星条旗に忠誠を誓うまでも無く、少なくとも自分たちが如何なる家庭、国に住み、恩恵を受けているかは教育されるべきとの結論だった。
 当時の校長はヨ−ロッパ留学の経験を持ち、北欧の考え方についても語られたが、大戦で占領された国、人口の少ない国程国に対する思いは強い。国を護れない者は自らの家庭も、自分自身も護る事は出来ないとの思いが強い様子との事だった。
 
 愛国心は環境から自然に生まれるもので、如何にボ−ダ−レスの時代になっても無くなるものではない。
 海外の空港にで搭乗する時、搭乗ゲ−トの番号でその航空会社の国の地位を知る事がある。日本の航空会社は殆ど一桁台のゲ−トだが、都合で外国の航空会社の便に搭乗する時には空港の端迄行く事になったり、乗継で帰国する場合には必要以上に質問と手荷物検査を受けたりする。 この時はナショナルフラッグの有り難さを思い知る。まして、アナウンスはその国の言語と英語、フランス語、日本向けの便ですら着陸してから「まもなく**空港に到着・・」のアナウンス。一度大阪空港へ緊急着陸した時に、総てのドア−が開き、シュ−トが出ても、終始北京語らしい言葉でアナウンスで、地上員が初めて下から日本語を話した。火を噴いていたら助からなかったと話した事がある。

 日本のパスポ−トは闇で20万円だそうだが、真偽を疑われて国旗も国歌も解らない様では、先ず三日は拘留される。テレビのメ−カ−名を不意に尋ねられたりもする。その時の為に、せめて日常から国旗と国歌には親しむ必要は有りそうだ。