ポスト小泉の総裁選立候補を表明した安倍普三が、冷え切っている日中韓問題に関して、「政経分離」でゆく、と述べている。
 特に日中の経済的な結びつきは、中国の持続する高度成長に比例して深まってきていることは事実である。いまや日本の対中国貿易額は、米国を抜いてトップであり、この形は持続されるであろう。
 安倍は、先に、中韓の嫌っている、日本の首相の靖国参拝について、「次ぎの総理も、またその次ぎの総理も靖国参拝を続けるべきである」と述べて、中韓の傷口に塩を擦りこむようなことを言ったが、日中韓の経済関係だけは維持、発展させねばならぬことは感じているのであろう。それで「政経分離」という苦肉の発言をしたものであろう。
 ブッシュが偽情報に飛びついてイラクに進攻した際に、これに反対するフランスを憎んだ米国民が、フランスワインの不買運動を始め、街頭でフランスワインの壜を大量に叩き割ったことがあった。
 この例でも明らかなように、政治と経済は、完全にとは言わぬが、不可分である。
 「政経分離」などと安倍が勝手に言うのは自由だが、相手の中韓がそんなものに乗ってこないのは明々白々である。こんな外交感覚では絶対に通らぬことを安倍は肝に銘ずべきである。
 村上新八