ミサイル騒動15
北朝鮮のミサイル発射で多くのものを手に入れたのは米国ばかりではない。実は
中国こそ大きな利益を懐にしたのである。
わたしは以前から北は豊富な鉱物資源国であると述べている。エネルギー支配慾
のあまりイラン、イラクなどに固執する米国に対し、中国は早くから北の資源に
食指を動かしてきたのだ。7月20日付朝日新聞が「孤立する北」について「強まる
中国依存、進む植民地化」の見出しで中国が「北東アジア最大の鉄鉱石埋蔵量と
される咸鏡北道の茂山鉱山」をモノにしたと伝えているが、これはほんの一例で
あって、北全体の資源の潜在埋蔵量は計り知れない。
北は既に中国の重化学工業地帯形成の目玉なのである。裏を返せば中国の特使が
説得に骨を折ったところで、逆に北から「てめえ誰のお陰でメシ食ってんだ」と
反論されかねないから、中国の指導力に限界があるのも当然である。他方、北の
孤立を深めたことにより、北はますます中国に頼らざるを得なくなり、中国の
利益が益々増大することになった。
北ミサイル安保理の舞台は米中両大国の見事な演出の場であったと言える。
「日本側の毅然とした態度が中ロを譲歩させ、全会一致の国連決議に……云々」
「今後北がミサイルを撃てば中ロも武力制裁を認めざるを得なくなる」などとまこと
しやかに解説してトクトクとしているいい加減なTV解説者がおり、それをまた模倣
してこのNGに投稿するアホウもいるが、とんでもない見当違いである。
中ロの譲歩も米国の7章放棄もすべて大国同士の駆け引きの賜物であり、中ロは如何
なる場合であっても武力制裁には絶対に加わらない。
近い未来、北に対する武力制裁安保理決議が提案されても、中ロはぎりぎり棄権する
のが精一杯、あわよくば生意気な日本が滅茶苦茶にやられる光景を楽しむことができ
るかも知れないのだ。
次に、自民党の一部に北朝鮮先制攻撃論やそのための日米迎撃ミサイル整備論が浮上し
つつあると伝えられるが、その反国民的な無責任性を指摘しようと思う。
(以下次回へ)
Fnews-brouse 1.9(20180406) -- by Mizuno, MWE <mwe@ccsf.jp>
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