イスラエルによるレバノン攻撃が続いている。レバノンでの犠牲者は230人、負傷者は500人を越え、そのほとんどは民間人であり、空港をはじめ建造物の被害も広がっている。
 このような惨状を沈静化させるために、先に英仏ロとアナン事務総長が国連部隊の派遣を提案したが、米国の反対で実現しなかった。
 ライス国務長官は、「今、沈静化させれば事態はますます混乱する」と言うが、このまま民間人の殺傷が続くのを手を拱いて、傍観するわけには行くまい。
 それは、イスラエルと米国に対する被害関係者の激しい憎悪と怨念を増大させ、将来に亙る禍根を残すことになるのである。これは新たなイスラムテロの呼び水にもなるのだ。
 そこえ、アナン事務総長の呼びかけに応じて、EUがかなりの規模での派兵の検討を始めたのである。
  EUの派兵によって、問題が解決するわけではないが、少なくともイスラエルによる攻撃はしにくくなることだけは確かであろう。この動きを大いに歓迎したい。
 アメリカは、テロには屈しないと言う。これは正しいが、このレバノン問題はテロの要求を呑むものでもないのだから、アメリカがこの沈静化に手を貸すことは、イスラムテロに貸しを作ることにかるチャンスなのだ。アメリカはこの好機を逃してはならないと思うのだが。
 村上新八