Path: ccsf.homeunix.org!CALA-MUZIK!newsfeed.media.kyoto-u.ac.jp!news.media.kyoto-u.ac.jp!not-for-mail From: "March Hare" Newsgroups: fj.books,fj.rec.comics,japan.manga Subject: =?iso-2022-jp?B?GyRCIVYkJiREJCYkRCRSJEckKkZ8NS0hVxsoQg==?= Date: Thu, 13 Jul 2006 05:18:16 +0900 Organization: C.A.T.CREDO Lines: 45 Sender: marchare@credo.jp Message-ID: NNTP-Posting-Host: n00141.gmms10.imtp.yoyogi.mopera.ne.jp Mime-Version: 1.0 Content-Type: text/plain; charset="iso-2022-jp" Content-Transfer-Encoding: 7bit X-Trace: caraway.media.kyoto-u.ac.jp 1152735515 14362 219.114.174.141 (12 Jul 2006 20:18:35 GMT) X-Complaints-To: news@news.media.kyoto-u.ac.jp NNTP-Posting-Date: Wed, 12 Jul 2006 20:18:35 +0000 (UTC) X-Priority: 3 X-MSMail-Priority: Normal X-Newsreader: Microsoft Outlook Express 6.00.2800.1807 X-MimeOLE: Produced By Microsoft MimeOLE V6.00.2800.1807 Xref: ccsf.homeunix.org fj.books:14595 fj.rec.comics:916 japan.manga:170 本書は、著者が「失踪日記」の第3部「アル中病棟」の執筆をしていた2004年7月7日から、 「失踪日記」が発売される直前の2005年2月16日までの「日記」である。 全編9話のうち第1話は自費出版されたもので、以後の8話は角川書店の雑誌に連載されたものである。 「失踪日記」とは異なり、ドラマティックな出来事は何もなく、 退院後のどん底のリハビリ生活で、 図書館通いと読書に明け暮れる著者の日常が淡々と語られる。 8月29日(日)雨 今日は休み 食って 読書して 寝て タバコ 吸って 食って ウンコして 寝て 食って 寝た 西澤保彦 「パズラー」読了 ○ 出版する以上は読者を想定するはずであるが、 この日記は読者を意識せずに(というより意識していないふりをして) 書かれているかのようである。 それでも、ななこやミャアちゃんが時々登場するのは、やはり読者に対するサービスなのであろうか。 しかしながら、本書には注目すべき内容も含まれている。 アイデアからネームが入るまでの作品の制作過程を公開したり、 某社の編集者H氏が「失踪日記」の出版をさわやかな笑顔で断るエピソードなど、 出版業界の裏事情がわかるくだりなどもさりげなく描かれている。 また、改めて驚かされるのが著者のすさまじい読書量である。 # 本のカバーの裏に読んだ本の一覧表が載っている。 「失踪日記」のような衝撃的な内容を期待して読むと落胆させられるだろう。 その意味では、読者を選ぶ作品と言える。 それにしても、再び驚かされるのは、このような日常でもひたすら自己に対する葛藤と 作品に対する内省を繰り返す、作家としての吾妻ひでおの視点である。 -- March Hare