北朝鮮は、組み立てたテポドン2を、監視しているアメリカの偵察衛星を意識して、これ見よがしに発射台に搭載し、燃料の注入を始めたようだ、と伝えられる。
 燃料注入には1、2日掛かるようだが、一旦注入されると、長くても5日くらいしか持たず、これを抜き取るのは手間が掛かるので、発射される確率は高くなるという。
 北朝鮮は、これを公式に認め、「テポドンの発射を懸念するなら、米朝交渉に応ぜよ」と述べている。マカオ銀行での金融制裁がよほどこたえているのであろう。この制裁を巡る交渉を望んでいるのである。
 ブッシュ大統領は21日、初めてこの問題に触れ、「ミサイルを発射しないとの過去合意を守れ」「平和な国家のすることではない」などと、発射を見合わせるようにとの発言をしている。
 その一方で軍は、ミサイルが発射された場合は、これをMD防衛網で打ち落とす用意をしていると伝えられる。が、今の命中精度では難しかろうし、この失敗は北朝鮮にとっては、大量得点になるから、よほど自信がない限り、MD迎撃が必要になるような事態にならならないようにすべきであろう。
 米国が、この北朝鮮の恐喝行為に屈して、金融制裁解除の協議に応じることは絶対に在りえない。そんなことをしたら、北朝鮮は狂喜して、完全に図に乗ってくるからである。
 このことも北朝鮮は知っているはずであるし、発射を強行すれば、韓国は米、肥料の支援もやめると言っているから、北朝鮮は益々孤立に追い込まれることになるのだ。
 こういうマイナスの反面、テポドンをアラスカから、カルフォルニアあたりまで飛ばせば、ミサイルを欲しがっている多くの顧客国に対するマ-ケティング・デモになるであろうことは確かであろう。それも狙いの一つとも考えられる。
 さて、金正日の胸のうちは?
 村上新八