米軍再編問題は、麻生外相、額賀防衛庁長官が訪米し、ライス国務長官、ラムズフェルド国防長官に合意を伝えた。
 再配置案については、それによって影響を受ける住民はつんぼ桟敷に置いたまま、日米の当事者だけで話し合い、途中経過は「未定だ」として一切伝えず、最終案だけを「なにとぞご理解を賜りたい」と強引に押し付ける慇懃無礼なやり口はいつものシナリオ通りであった。
 新聞の論調は、「日米の役割分担が不透明」だと言うが、本当は明確なのだ。中国の軍事的台頭を牽制するために、自衛隊を前面に押し出そうとする意図に貫かれているのである。ただ、現在は憲法改正前だから、それを表立っては打ち出せないだけのことなのだ。
 米国は、戦略目的の筆頭に「テロ対策」を掲げるが、それは名目だけで、真の狙いは中国の牽制である。
 軍事力では叩きようがないのがテロなのだ。どこにいるのか分からないのがテロだから、いくら強大な軍事力を持っていても、それを投入しようがないのである。だから超大国アメリカでもテロを恐れるのである。
 これで日米同盟が新たな段階に入ったというのは、自衛隊が前面に出る形での日米の対中国軍事同盟の構造が出来たということなのだ。これは日本の憲法改正で仕上がりになるのである。
 村上新八