日歯連の会長が自民党の橋本、野中、青木3氏との会食の席上で1億円の小切手を献金したが、これを裏金として処理したとして、平成研究会の村岡会長代理が政治資金規正法違反に問われた裁判で、村岡氏の無罪判決が下された。
 この事件は、初めから不自然なものであった。橋本、野中、青木の三人は、1億円もの小切手の授受について、記憶がない、などと常識的には到底考えられない逃げを打って、知らぬ存ぜぬを通したのだ。これを追求しなかった検察も検察だ。
 この裏金処理について、会長代理ひとりで、裏金処理を決めるわけはないのだ。当時入院中だとは言っても、病状は軽かったのだから橋本会長には相談しないはずはないのでである。
 裁判所は、会計責任者のこれらの証言の信憑性を疑い、これらを不自然だと断定して、これは橋本会長を護るために、政界引退した村岡氏の責任にしてしまおうという工作であったと認定したのである。常識としても納得できるし、筋はきちんと通っている判決である。
 しかし、国民が自民党の長期政権を居座らせている限り、このような事件はなくなるまいし、更に怖いのは、このような不祥事に国民が慣れっこになってしまって、怒りさえも感じなくなってきていることである。
 村上新八