スイス、ヨルダン、シンガポ−ルなどで構成されている5Sは20日、「国連安保常任理事国5ヶ国に与えられている拒否権は、『人道に関する罪』については行使しないこと、その他の問題について行使する場合には全加盟国にその理由を示すこと」という決議案を提案した。
 常任理事国の拒否権は、国連の機能を弱め、国連の権威を損なうものだとして、筆者も長年に亙ってその排除の必要性を主張してきた。
 そもそも、この常任理事国の拒否権は共産主義が自由主義かのイデオロギ−間の鋭い対立があった20世紀後半の時代に、呉越同舟の国連を円滑に運営するための苦し紛れの知恵であったのだ。
 その意味で、この拒否権は、イデオロギ−の対立がない今日では、国連機能の発揮を阻害するだけの単なる有害無益な遺物化しているのである。
 この5S決議案に対しては、常任理事国5ヶ国は反対の意向を示しているというが、それこそ国連の権威を損なう行為に他ならないと言わねばならない。
 村上新八