韓国を訪問して盧大統領と会談した元官房長官福田康夫氏は、予定時間をはるかに越えて1時間10分にも及んだという。
 福田氏は、アジア経済圏構想は日中韓が協力しなければ進展しないことを強調し、そのためには、硬直している日中韓の上部関係を修復することが当面の急務であることで盧大統領との意見の一致をみたのだ。
 日韓の間には、少子高齢化問題、格差問題、若年層の失業問題など共通の課題が多く、これらの問題を共同して解決する必要性についても述べたという。
 日中韓の上部関係の修復は、小泉の流れに沿う靖国参拝派の安倍、麻生では不可能だ。彼等が自民党総裁になり、総理になったら、その任期中は日中韓の硬直の解消は期待できない。それでは回復し得ない国益の損失を生むことになるのである。
 小泉の残り任期も少なくなり、人事の刃も振り回せなくなってきているから、自民党の中からも、頑なな小泉流我執を排して、アジア近隣諸国との外交再構築の声が出てきてもよい時期なのだ。その意味で福田氏の訪韓は時宜を得たものと言えよう。
 村上新八