国会議員占拠は終わったが、イラクの混乱は止まらない。組閣も中途半端だし、国会まだ開かれていない。米軍と武装勢力との戦いは、総選挙後は、フセイン時代とは一転して劣位に落ちることになったスンニ派が第一党の座を占めたシ−ア派を攻撃するという宗派間戦争に変貌したのである。かねてから心配されていたことが始まったのである。
 フセイン時代とは打って変わって優位に立ったシ-アは、初めは余裕を示していたが、スンニ派にシ−ア派聖地のモスクを爆破されるに及んで、手当たり次第にスンニ派住民への報復攻撃を始めたのだ。
 スンニ派は、このシ−ア派による報復攻撃にはイラク国軍も加担していると思っている。
 このままでは、新政府も機能しないどころか、かってのアフガン並の内戦状態にもなりかねないし、これに同じシ-ア派のイランが加わってでもくることになると、報復合戦化、内戦化の泥沼に完全にはまってしまうことになるであろう。
 このような内戦状態になることを防ぐことは、米国はもとより国連にもできない。やれるのはスンニ派、シ−ア派の宗教指導者しかあるまい。
 いまこそ宗教指導者が立ち上がって、両宗派の戦いを収めさせる責務があると思う。 

 村上新八