台湾の国防部は、7日、中国が台湾の対岸に配備している短距離弾道ミサイルの基地の数が784基地に達し、年に75基から100基のペ−スで増加している、と公表した。
 これらのミサイルの性能は高く、誤差50メ−トルの命中精度を持っているという。
 世界各国は、中国は一つであることを認めている。これは台湾を包含するという意味が籠められているのだ。が、本心では台湾は別に考えたほうがよいと思っている国も多いはずである。
 台湾は、反乱を起こして占領したものでもなく、共産制と民主制と政治体制も違うからである。 
 にも拘わらず「中国は一つ」を認めるのは、13億人の人口を擁する中国という広大な、かつ発展途上にある市場に魅力があるし、「中国は一つ」ということを認めなければ、この市場参入が許されないからである。
 だから、中国が民主制にならない限りは、台湾と中国の並存が好ましいと思っている国が殆どであろう。
 中国はこのことを知っているから、台湾に軍事的な脅しを掛けても統一に向かわせようというのであろう。
 しかし、台湾住民の80%は旧台湾省人なのだ。彼等は大陸系中国人を「大陸」と呼んで距離を置いているのである。こういう事情を考えると、1000基近いミサイルを台湾の対岸に配備して脅かすというのは台湾人の中国憎悪感を煽るだけではないか。
 台湾人が中国に魅力を感じるのは商売の相手としてだけである。この点に配慮して経済的に不可分の関係を構築することが何よりもの台湾懐柔策だと思うが。
 村上新八