台湾の陳水扁総統は、’0年の総統就任時にはその維持を明言していた中国との統一の条件として、中国での自由うや民主化、豊かさなどの条件を決めた「国家統一綱領」を廃止することを表明した。
 こういう条件を満たせば統一してもよい、ということは、少なくとも「今は統一はお預けだが、台湾独自で独立することはない」ということを意味するものではあった。つまり現状維持の表明となるものであった。
 だから、これを廃止することは、中国にとっては「台湾は独立も辞さぬ」ことの表明とも受け取れるのである。これに対して中国は、早速非難声明を出した。
 このところ、中国の台湾への非軍事的攻勢も盛んである。「パンダのつがい」の贈呈を申し入れたり、親中国の国民党への接近を図ったりしている一方で、軍備の近代化に精出している。
中国は非軍事と軍事の両面作戦で台湾に圧力を掛けているのだ。
 今度の陳総統の措置は、これに対して台湾政府の姿勢を明確にして、NOのサインを示すことによって、台湾住民の結束を図ろうとするものであろう。
 中国大陸という巨大な市場の経済的魅力と、中国と統一しない台湾での経済発展、自由、民主、人権の謳歌のいずれを選択するかの台湾住民の選択ということになろう。
 台湾の人々は、一国二制度の香港、マカオの推移を見ながらゆっくり時間を掛けて選択すればよいのだ。
 村上新八