内政面では言いたいことを言う政治家は、奥歯にものが挟まったようなことしか言わない奴よりもましな面はあるが、外交の衝に当たる外相となると話は別だ。
 ディプロマチックセンスでは抜群の才能を発揮した吉田茂の孫に当たる現外相麻生太郎はこのじい様の血を引いているとは寸分も思われない、ディプロマチックセンスゼロのバカ外相だ。
 外相になる前からおかしなことばかり言っていた。
 「朝鮮人の創氏改名は本人がれを望んだもので、日本が押し付けたものではない」と言ったりして韓国を怒らせたりもした。
 これは実家の麻生家が炭鉱を経営していて、戦前戦中を通じて多数の朝鮮人を使っていた関係で、その人たちが便宜上創氏改名を求めたという事情もあったであろうことから、そう思った理由も分からないではない。
 しかし、「日本の台湾統治時代に台湾人に学校教育を義務付けたことが、台湾人の教育水準を高め、今日のた台湾反省の基礎になった」などの発言は、そうかも知れないが、外相が言うべきことではない。
 学校教育を義務付けたのは、日本語を普及させるためであって、それは日本の台湾に対する植民地政策の一環として行なったことで、台湾人の教育水準向上は、その派生的効果に過ぎないからである。
 さらに「台湾は国家である」と言うに至っては、一私人が言うなら自由だが、外相たるものは絶対に口にすべきではない。日本政府は、中後との国交樹立の際に「台湾を含めて中国は一国だ」とはっきり認めているからである。
 こういうバカ孫、麻生太郎のあきれ果てたディプロマティクセンスのなさは、泉下のじい様吉田茂を怒らせ、嘆かせていることであろう。
 村上新八