米国防総省は、4年ごとに見直し(QDR)を行なう、今後20年間の国防政策を発表した。
 そのなかで「対テロは長期戦争」として
冷戦並みの労力と時間を必要とする対テロ戦略を強調しているが、その本音は、軍事力を急激に伸ばしている中国を見据えた対中国戦略であることは明らかだ。
 このことは海軍力の配備で、太平洋と大西洋のウェ−トを空母では6隻以上対5隻以下、潜水艦では60%対40%と差をつけていることからも明らかだ。
 これは、近時太平洋に出没し、日本の領海やグアム島近辺にまでやってくる中国潜水艦群をを意識したものであろう。いよいよ米中のアジアにおける軍事的覇権確立競争の本格化が始まるのだ。
 「テロ対応戦略」などと言っても、大体、民間の中にもぐりこんで神出鬼没な忍者的な行動をするテロに対して空母や潜水艦は全く役には立たないのだ。
 このような米国の動きは、同盟国であり、中東、北アフリカから極東までのいわゆる「不安定の弧」の東端に位置する日本は米軍の重要な戦略拠点として米国の軍事的覇権確保戦略に完全に取り込まれることを意味するものである。
 このような情勢の下では、日本にとって大切なことは、日中関係を緊密化することによって日米と日中のうまいバランスを取ることである。下らぬ総理の靖国参拝などに固執せず、中国との関係を改善することが急務である。
 村上新八