「つぎはぎ判決、わかりにくい」最高裁判事、高裁に苦言
2006年01月19日新聞各紙報道 別NGから

 高裁判決の理由欄で、一審判決の一部の項目だけを示して「引用する」と書
き、それに続けて控訴審の判断を追加する「引用判決」と言われる手法につい
て、最高裁第一小法廷の泉徳治裁判官は19日、「つぎはぎ的引用は避けるべき
だ」と異例の苦言を述べた。土地の明け渡しをめぐる訴訟の判決の補足意見で述
べた。
 この裁判では、二審・高松高裁判決が一審・松山地裁判決を部分的に引用した
が、独自の判断部分と引用部分の事実認定が一部で矛盾していると上告審でわ
かった。
 泉裁判官は「つぎはぎ的に引用すると、論理構成や時系列に矛盾が生じるおそ
れがある。二審判決を読んだだけでは全体の趣旨が理解できず、わかりやすい裁
判という観点からも望ましくない」と指摘。「コンピューターを使えば文章ごと
簡単に書き写せるし、その部分を太字にするなどして区別すれば、二審独自の判
断部分の中にとけ込ませることもできる。自己完結型の判決文にすべきだ」と提
案した。
 「引用判決」のスタイルは70年代以降広がり、現在もよく使われている。
しかし、当事者などから「わかりにくい」と苦情が相次いでおり、司法研修所は
2004年、「控訴審判決を見ただけで、内容の理解が容易となるようにすべき
だ」と提言する研究をまとめている。