国連、安保理常任理事国の拒否権を制限しょうとする提案をスイスが中心になって、国連総会に提出する動きが出ている。提案国は、スイスが音頭をとってヨルダン、シンガポ−ル、コスタリカ、リヒテンシュタインの5カ国で「S5」と呼ばれている。
 国連で拒否権を持つ国は安保理常任理事国の5カ国のみで、これまでに257回拒否権が行使され、それが国連機能不全に落しいれ、国連の権威を失墜させた元凶の一つとなっていたのである。
 このサイトでも「拒否権廃止」の主張を何回か繰り返したが、今度のスイス提案は待ちに待った快挙である。
 国連加盟国は、現在191カ国、その総会での決議であっても、たった1国の拒否権行使で反故にされるということ自体が民主的ではないではないのだ。
 大統領が議会を通過した法案に拒否権を持つ制度はあるが、この場合でも、議会で一定率以上の賛成で再度決議されれば法案は成立する救済ル−ルがある。が、国連の拒否権行使にはその救済ル−ルーさえもないのである。こんな非民主的な制度は即刻廃止すべきである。
 今度提案されるスイス案では、拒否権行使の制限を「人道に関する罪」「集団殺害」「戦争犯罪」に限定しているが、それでも大きな一歩前進である。
 国連の加盟国の多数がこれに賛成する動きを見せているようだが、この案はまたまたどこかの常任理事国の拒否権行使でつぶされる可能性もあるのだ。そんな国に対しては、国連総会で「非難決議」を断固可決すべきである。
 村上新八