下手に接戦になったおかげで、最後まで楽しむというには程遠い雰囲気に
なってしまった。８回はベンチへ戻ってくるクリーンアップの３人の姿がまるで
負け犬のように映ったことが悔しくてならない。
このシリーズ阪神打線の中で唯一当たりの出ていた矢野が、１点差に追い
上げた押せ押せの６回と大事な虎の子の同点走者を置いた最終回で連続
併殺打に倒れた。敗戦チームから選出される敢闘賞もなし。まさに投・打さら
に守備のすべてにわたって総崩れのシリーズに終わった。

ロッテはプレーオフの研ぎすまされた神経のままシリーズに臨むことができた。
予告先発に合わせて自在なスタメンを組めたのも有利に働いただろう。
ただ、ここまで差の開いた要因は何かを考えても、まともな答えは出て来そうに
ない。これがそのまま両チームの実力差でないことは間違いないだろう。
優勝祝賀会での「優勝の実感がない。水遊びしてるみたい」という清水直の
コメントが、ロッテにとってこのシリーズがいかに楽な戦いだったかを物語って
いる。戦いにすら感じてなかったのではないだろうか。

リーグ制覇の栄誉を勝ち取った者だけが立つことを許される舞台で、リーグ
制覇の誇りすら吹っ飛ぶ屈辱的な敗戦。あの９．７で阪神は本物の強さを
身につけたものと思っていたが、実はまだまだだということを野球の神様が
教えてくれたのだろう。
阪神が初の日本一に輝いた８５年、敗れた西武はその翌年からの７年間で
６度の日本一を経験する一大王国を築いた。この屈辱は必ずそのステップに
つながるはずだ。

ロッテの選手、ファンの皆さんにはおめでとうと言いたい。今年はさらにアジア
シリーズという日の丸を背負った大会が控えている。選手権が終わってから
モチベーションを保つのは大変だろうが、それこそ阪神のような立場にならない
ようキッチリ調整して、初代アジアクラブチャンピオンを勝ち取ってほしい。

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Takachan
takatsuka@k3.dion.ne.jp