金正日の偽ドル印刷と行使は大分前から問題になっていたが、新たに、北朝鮮で印刷された100万ドルにのぼる精巧な偽ドル事件が発覚した。アイルランドの「正統派アイルランド共和軍」の指導者、ガ−ランドがその偽ドルの保持と行使で逮捕されたというのである。
 更に、これとは別件なのだろうが、マカオの銀行、バンコ・デルタ・アジアが、北朝鮮の偽ドルの資金洗浄に関与した疑惑でマカオ政府管理に移されたという。
 北朝鮮とアイルランドの過激派とどのような関係にあるのかは不明だが、通貨偽造は国権侵犯行為であり、これを国家が行なうという行為は国際信義に悖る行為である。
 国家間が戦争状態にあれば、敵国の経済を混乱させるために、このような国家による敵国通貨の偽造がなされることはある。日本も日中戦争時代に中華民国の紙幣を偽造したと伝えられている。しかし、平和時にこのような行為はあってはならないのだ。
 北朝鮮は、例によって「米国の卑劣な謀略だ」などと否定するであろう。が、よど号ハイジャック事件で、北朝鮮に逃げ込んだ犯人が、北朝鮮の工作員としてタイに潜入して北朝鮮政府が偽造した偽ドルを保持していたという前科もあるから、この事件も事実なのであろう。
 この事件の摘発は、6者協議に影響することが懸念されているというが、国権侵犯の悪事は悪事として断固として叩くべきである。その影響を懸念するという考え方自体が大間違いであると思う。
 村上新八