この一週間のうちに、小泉総理の靖国参拝をめぐっての高裁判決が3件あったが、そのうち、傍論ながら違憲判断を示したのは大阪高裁のみである。
 この裁判所の違憲判断をめぐって賛否両論がある。
 反対意見は、裁判で請求された訴因に対する結論、つまり「主文」に関係のない点についてまで、判断を示すのし「蛇足」だとするものである。
 裁判で請求している訴因は、たしかに、「損害賠償請求」であるが、これは、法が総理の靖国参拝という行為の違憲性を問う制度になっていないために便法として、使ったまでのことなのであって、本意は、それが違憲かどうかの判断を求めている訴訟である。
 三権分立は、立法、司法、行政の三権が相互に牽制することを目的とする制度であり、司法が違憲かどうかを判断することをやめることは、この制度の根底を覆すことに他ならないのである。その意味で、反対論は間違っていると思う。
 憲法改正の時期が迫っているが、改正憲法には、憲法裁判所の設置あるいは司法の違憲審査権の明示を是非盛り込むべきである。
 村上新八