“自民、単独過半数の勢い”などと報道されると、
自民支持者は、“心配したほどではない”と安心して棄権するし、
野党支持者は、“投票に行っても無駄か”と落胆して棄権する。
投票率が全体的に低下してしまうのは、そのためでもあるらしい。
公的無償行為者の消極性が蔓延する所以である。
選挙権という権利を行使するもしないもそれは自由だと考えるならば、
言論や報道も自由だから、こうした相関現象については、
論評する何物もないかも知れない。しかし、投票が国民の義務であるとし、
国民のあるべき姿として投票率の向上を目指すなら……、
開票前にさも結果が決まっているかのような印象を与える予断報道が、
投票者のマインドに微妙な影響を与えることを否定できないとすれば、
特に公の利器としての報道機関は、こうした報道を自粛すべきであろう。
予断をより抽象化し得る中選挙区制のもとでなら別だが。