参院での郵政民営化法案否決劇は衆院解散、自民党分裂にまで発展した。
 これは小泉政権と自民党の反対勢力の相互ご都合主義による相打ちだ。
 自民党の公約には「郵政民営化」は記載されていたのは確かである。これによって選挙戦を戦いながら、今更反旗を翻すのはけしからんというのが小泉総理の言い分である。
 しかし自民党の反対派としては、小泉人気を利用して選挙戦を有利に戦う便法として、郵政民営化の小泉公約を使っただけであって、どうせ分科会、総務会の関所で骨抜きにするのだからと高をくくっていたのであろう。それが昨年末の郵政民営化枠組みの閣議決定で、その思惑は覆ったのだ。
 一方小泉内閣は、反対派の外堀を埋める作戦として、2年前に民営化にはつなげないとする郵政公社法をまず通して、反対派を油断させておいて、これを橋頭堡として次ぎに民営化法案をぶっつけて一挙に中央突破を図ろうという作戦だったのだ。
 この両者のご都合主義が衝突して相打ちになったのが、今回の騒動である。これに乗じて漁夫の利を得るのは民主党になるのか、これからが見ものである。
 村上新八