琵琶湖博物館のLANでは、
各分野の研究者が各々の流儀で情報処理することなどから、
Windows(SMB)とMacintosh(AFP)が共存しています。
ファイル共有環境においては、
DOS/WindowsのファイルとMacintoshのファイルが
同一ドライブに並存すること自体が混乱のモトになるので、
メインに使っているファイルサーバでは、
SMBに向かって開放するパーティションと
AFPに向かって開放するパーティションとを
完全に分離しています。
サブで立ち上げているサーバも、
SMBとAFPのどちらかに限定するのを原則にしています。
そして、相互データ交換用専用サーバとして
SMBとAFPの両方に対応するファイルサーバを別に置くことによって、
「特別な世界」であることを意識させ、
ファイル名やファイル形式に関する約束事を守らせる動機付けにしています。

MacOSXが出たころは、Windowsへ移行するユーザが多かったこともあり、
どうしても必要な分だけMacOS9を導入し、MacOSXの導入は控えていました。
MacOS9機がいよいよ調達できなくなり、
その一方でMacOSX向けのアプリケーションも揃ってきたので、
ついに導入することにしました。
Panther以前を飛ばして、いきなりTigerの導入ということになりました。

ここまで書いたら話が見えた方もあると思いますが、
当然ながら、MacOSXクライアントから
SMB向けサービスとAFP向けサービスが両方対等に見えてしまうんですね。
特に、今まで両方とも対等に見えてしまう状況を想定していなかったために、
AFPのAppleZoneとSMBのWorkGroupの名称が重複する事例が続出し、
類似した名前の「ゾーン」が2つずつ並ぶ状況になって大混乱。

SMBのサーバを見えなくする方法は無いものかと調べてみたのですが、
Appleのページを調べても出てこないし、
Appleのサポートに電話しても「無い」という答えが返ってくるし、
Googleで広く検索しても
「仕方が無いからウチは“指導”で乗り切っている」なんてのが出てくるし、
こりゃ、Darwinの深部をいじるような裏技しか無いのかなと思ってました。

Googleで検索して探し出した例:
http://www2.samba.gr.jp/ml/article/samba-jp/msg16720.html
から始まるメーリングリストログのスレッド

ところが、ひょんなことから、
全く裏技でも何でもない方法で実現できることに気付きました。

実は私、館内で唯一のunix使いなわけで、
その立場でのMacOSXの活用法を探るために
B.Jepson & E.E.Rothman(酒井皇治監訳/藤田昭人訳)
「プログラミングMacOSX for Unix Geeks」
(オライリージャパン)ISBN4-87311-121-8
を読んでいたのです。
そしたら、導入部に相当する「Unixとして見たときのMacOSX」の部分に
ディレクトリサービスの説明があって、
「/アプリケーション/ユーティリティ」に用意されている
「ディレクトリアクセス」アプリケーションで
簡単にSMBを止められることが書いてありました(p.62〜64)。
やってみたら、確かにアッサリできてしまいます。

こうして簡単にできてしまうと、逆に疑問が湧いてきます。
「何故、この方法が知られていないのか?」

そもそも、Appleのサポートが知らなかったというのが謎ですね。
「できるようにする」方法ばっかり考えていて、
「できなくする」方法の必要性というのが認識に無いってことなんでしょうか?

ちなみに、「ディレクトリアクセス」アプリケーションが鍵だと判明した後で、
これをキーワードにgoogleで検索してみると、当然ながら色々出てきました。
ただ「Windowsのリモートドライブにアクセスしたかったら
ディレクトリアクセスでSMBにチェックが入ってることを確かめて」
というスタンスの記述はあっても、
逆は「Windowsのリモートドライブを見えなくするには……」
というスタンスの記述は見つかりません。
そういう動機って、実は少ないんでしょうかね?

あるいは、SMBを見えなくすることで、何か実害が生じるでしょうか?
SMBしか使えないプリンタが見えなくなるとかいうことも考えられますが、
それはプリンタ次第ですよね。
もしかして、それ以外にも、思いがけないような副作用があるのでしょうか?

どうもよくわかりません……

#ちなみに、どのプロトコルのネットワークサービスも
#全く対等に見えてしまうというのは、欠陥設計だと思う
#せめて、アイコン等の見かけを変えるのは当然じゃないかなあ……

                                戸田 孝@滋賀県立琵琶湖博物館
                                 toda@lbm.go.jp