郵政民営化法案は衆院通過とはいえ、わずか5票差という際どい結果であった。こんな僅差は前代未聞だ。棄権、欠席14票のうちわずか6票が反対投票すれば、否決されたのである。
 自民党執行部が、「反対議員は厳重に処罰」「否決なら衆院解散だ」との脅しをかけ、自民党の選挙用下駄、公明党までもが「反対派は次の選挙では推薦しない」との威嚇がありながらも、この体たらくなのだ。
 参院自民党幹事長の片山氏が、この郵政民営化法案について「小泉さんの初恋の人とのデ-トにいぶしぶ付き合っているようなものだ」とうまいことを言ったが、執行部や公明党の脅しの怖さで、いやいや賛成にまわった自民党議員も多かったはずである。
 自民党執行部は、薄氷を踏む思いで胸を撫で下ろしているのだろうが、逆にこれで勢いついたのは反対派だ。
 これだけ造反議員が出れば、処罰も出来にくくなる。まして、決戦の舞台が解散のない参院に移れば、衆院で善戦した勢いに乗って、遠慮なく反対の意思表示をする自民党議員も増えるはずである。
 小泉内閣の命脈は、郵政民営化法案の参院決戦で尽きる可能性は高くなってきたとみるべきであろう。
 村上新八