6者協議を過去のものと言ったり、条件付で6者協議への復帰に含みのある発言をしてみたり、北朝鮮は相変わらずかき回し外交を続けている。
　この北朝鮮が、94年のアメリカとの枠組み合意で凍結していた原子炉2基の建設を再開していることがアメリカの偵察衛星の観測で分かった。この原子炉は核爆弾の原料となるプルトニュ−ムの抽出可能な炉だという。
　アメリカは、これを例の水際戦術とみて、監視は続けなかがらも、当面は反応しない方針でゆくようだが、北朝鮮の真の意図は何なのか。
　北朝鮮は、アメリカに対して、6者協議復帰の条件として要求している「圧制の拠点名指しの撤回」や「金正日体制の保障」などを米国が呑むはずはないことは承知しているはずである。それを分かっての上でやっているのだ。また、北朝鮮が一旦手にした核兵器を手放すようなことは絶対にあり得ない
であろう。それは、北朝鮮にとっては、唯一かつ最後のカ−ドを手放すことになるからである。
　こう考えると、「例の水際作戦だろう」「偵察衛星で見てくれと言わんばかりに、これ見よがしに原子炉建設を始めるのはその何よりもの証拠だ」と米国は思ってくれるであろう。北朝鮮は、それを読んでの、本気での核兵器製造能力強化を意図しているものかも知れないとも思えるのだ。
　ここは、したたかな北朝鮮に裏をかかれないように、裏の裏まで読み取る心構えで対応することが大切だと思う。
　村上新八