道路公団の鉄鋼製橋梁工事をめぐる談合疑惑で、公団に強制捜査の手が入った。当然のことである。
 入札制の公共事業である限り、談合が伴わないものは一件たりともないのである。これは昔から決まっていたことである。
 その構造は、官庁の担当が民間業者へ天下った官僚OBへ工事の予算情報をリ−クし、これをベ−スにそれぞれの地域工事を仕切るボス業者(これを業者仲間では村長という)が談合を取り仕切り、予算ぎりぎりでの落札予定額と業者を決めて、他の業者は落札予定額を上回る金額で応札するのだ。だから落札率は100%近い額になるのである。
 これは業者にとっては、美味しい、ということは儲けの大きい、折角の公共工事を業者が叩きあって、価格競争、共倒れにならないための知恵である。
 また、官僚にとっては退官後の受け皿を確保し、生活を安定させるための知恵なのだ。 

 天下った官僚OBはその地位に応じて、副社長とか専務とかの肩書きを貰うが、彼らは経営にはタッチせず、地位に応じた持参金(工事)提供と予算情報取りの役割をするだけである。その官庁とのパイプとしての機能は退官後の年数とともに低下するが、業者側はこれを勝手に首には出来ない。これが出来るのは、OB会の肩たたきだけなのである。というのは天下り団体のOB会が睨みを利かせており、首にでもすれば、それ以降は天下りに応じてくれない、という報復を受けることになるからである。
 だから、談合をなくすのは、発注官庁ではなく第三者の予算決め専門機関が工事予算を民間並みにシビア−に決めて、これを公表して入札させるしかないのである。
 官僚OBの天下りを禁止しても、彼らが「コンサル会社」でも作って工事予算情報を業者に売れば談合は出来るからダメである。
 村上新八