ブッシュ大統領は脱北青年をホワイトハウスに招き、予定の15分を大幅に超える40分もの時間をさいて会談した。
 きっかけは、脱北青年が、祖父の反政府的発言によって一家が強制収容所に拘禁された何年かの、動物以下の過酷極まる扱いを受けた体験を本にまとめ、その翻訳本をブッシュ大統領が読んで感銘を受けたことである。
 その会談のなかで、ブッシュ大統領の「君が米国大統領だったとすれば、北朝鮮に対して何をするか」と問いかけた。それに対して青年は、「核開発の問題はあるけれども、最も急を要するのは、人権問題である。北朝鮮に圧力を掛けて強制収容所の問題を解決したい」と答えたという。
 日ごろから「国民を餓えさせながら、過酷な弾圧を加える金正日は大嫌いだ」と言って、北朝鮮の人権抑圧問題に関心を示している大統領だから、つい先だってノムヒョン韓国大統領と会談した同じ執務室に脱北青年を招いて会談したというのは、北寄りの韓国にNOのサインを示す意図があったのであろう。
 村上新八