いいじま@京大から初投稿です。

>  首都圏普通列車のグリーン車に乗って、250円も高いのに
> 車内でグリーン券を買う客が結構居るのを見るにつけ、関西
> との気風の違いを感じていましたが、あれで車掌への暴力が
> 激減とは……
> 
> http://www.asahi.com/national/update/0622/TKY200506220346.html
> 
> # 関西だったら返って増えそうな気が。

この記事の本旨は、「優先着席制度をやめたら車掌への暴力が激減した」
というものですね。

え〜、まず前提として書いておくと、首都圏の普通電車のグリーン券は
    自由席
です。関西圏のグリーン車が指定席なのとは違います。

ですから、発行枚数の制限もありませんし、着席保証もありません。
(あらかじめ駅で券を買った客が空席なしを理由に普通車に移る場合は、
 グリーン料金の払い戻しがあります。)

で、旧来は、「混雑時間帯には、車内でグリーン券を買った客が着席していて、
駅で買った客が立っていたら、席を譲らなければならない」というルールが
ありました。これが、問題の「優先着席」です。
これを廃止したところトラブル激減、というわけです。

この優先着席への反発も、いま車内客が250円の割増料金を払っているのも、
「同一価格同一商品の原理」(仮称)で説明がつくのではないかと思います。
つまり、「同じ金額を現に払っているのに、なぜ俺はあいつより悪い商品しか
提供されないんだ」という反発です。

優先着席の時代には、車内で買うグリーン券も、駅で買うグリーン券も同額で
した。同額で同じ目的の商品なのになぜ、効力が大きく違うのか? 席を譲る
よう求められたことを「売り手(JR)の都合で契約(着席保証)を強制解約
した」と考えると、鉄道以外の分野の契約なら、払い戻しの上で違約金を払っ
てもおかしくない事態です。

#全車指定席列車の立席特急券の類は話が違います。これは
#・本来は満席なのに「客の都合で」乗せてもらっている
#・座れない区間があることの代償として、安い値段を納得して(納得させら
# れて)特急券を買っている
#というシチュエーションなので、本来の席の持ち主が現れたら譲って当然です。

で、つぎに車内割増ですが、この250円は、「客がギリギリまで決定権を留保す
るための対価」と捉えることができます。映画の前売券と当日券の値段の違いと
同じです。

つまり、駅で買ったらグリーン車に乗るしかありません(払戻については、空席
なしを検札が現認した場合以外は非常に面倒)が、飛び込みで乗った場合、列車
が入線してから普通車の混雑状況を見て、グリーン車に乗るかどうかの判断をす
ることができます。

この250円が妥当かどうか、手軽な事例として映画と比べてみると、東京だと映
画は当日券が1800円(大人一般)、前売りが1300円(学生も同額)なので、ほぼ
同じ割引率ですよね。

私の感覚では、今のグリーン券程度の料金の場合、200円割増だと「なら手間を
かけるよりは車内料金で乗ろう」と思いますし、300円だと逆に「車内料金はぼ
ったくりすぎ」と感じます。

事前にマーケティングをしているのだとは思いますが、絶妙な価格設定だと思い
ます。

あとは、Suicaにまつわる話。

一定の層の乗客にとっては、「得体の知れないSuicaなるものに2000円も払いた
くない」という考えがあります。ちょうど、バスに乗るのに、いくら「カードな
らプレミアつきますよ」と宣伝しても、カード1枚分を使いきれない人は現金で
支払うのと同じです。あるいは、個人情報が抜かれるのではという偏見。

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飯嶋 浩光@出先