2月の停戦宣言と3月のパレスチナ自治政府とハマスなど過激派との停戦了解などで沈静化していたハレスチナの武力衝突はここで散発的に発生している。これをとらえて、シャロン首相は、21日のアッバス議長との会談で、「貴方はテロを十分に食い止めていない」と非難したと伝えられている。
 しかし、長い歴史と教育や社会福祉の面でもパレスチナ人との強いきずなを持つハマスなど武装勢力をそう簡単に武装解除するなどは無理である。
 武装勢力を政治プロセスに引き入れながら、パレスチナ人の生活改善に繋がる措置を積み重ねて、和平の良さをパレスチナ人に実感させることを通じて、武力闘争をなくし、国家建設につなげていこうとするアッバス路線は現実的であり、最も成功確立の高いものだと思う。事実、着々と成果は上がりつつあるのである。
 唯一心配なのは、シャロン首相が性急に武装解除を求めたり、占領地からの撤退、隔離壁の撤去、パレスチナのはみだし過激派の散発攻撃に対する過剰な反撃などでこの和平機運をぶち壊すことである。
 シャロン首相は、なにがパレスチナ人に和平の良さを実感させる施策になり得るのか、をじっくり考えて、それを積み上げるしかないのである。それ和平恒久化の最も確実な道なのである。
 イスラエルに影響力を持っているのは米国しかないのであるから、米国は、アッバス路線を支持し、シャロン首相をこれに協力させるように働きかける責務を持っていると思う。それがイスラム過激派テロをなくす道に通じるものでもあるからである。
 村上新八