まさかそんなことが、と驚き呆れる法制が日本にあるのだ。
 ケイタイやITの普及に伴ってこれらを悪用した犯罪がますます多様化し、巧妙化している。その犯罪被害者は何万人、被害額は何百億円にも達するであろう。「振り込め詐欺」でも、それに対する注意は行き届いているはずなのに、未だに被害が発生しているのである。
 この犯人検挙は難しいが、犯人を検挙して、その犯行によって得た不法利得金を裁判所が押さえてもそれを被害者に返還することができずに、結局犯人に返すというような理不尽極まることになる場合が多いというのだ。
 裁判で国が没収することは出来るが、それでは被害者に被害額を返還できないことになる。そこで没収をしないとする。被害者に返還するためには、被害の届出と民事裁判が必要になるが、被害者は、犯人の復讐や手続きの煩雑さ、裁判の手間の問題で、届け出る者が少ない。実際にあった例だしと、裁判所が押さえた犯人のかねが100億円なのに、被害者が届け出た合計額は3億円足らず。このままだと、97億円が犯人に戻されることになるというのだ。こんなバカなことになるのが日本の今の法制なのだ。
 こんなおかしな法制になっているのは、先進国では日本だけ、他の先進国では、官が被害者のプライバシ−を守りながら、訴訟手続きや裁判処理を代行して被害者にかねを返還する制度があるというのだ。それが当然だろう。
 くだらない郵政民営化にうつつを抜かすよりもこっちの法制化のほうが優先度が高いと思う。
 村上新八
 これが