米軍縮小への予防線、ラムズフェルド演説
アメリカラムズフェルド国防長官は、シンガポ−ルで開催された英国際問題研究所主催の「アジア安全保障会議」での講演で、中国の軍拡を非難した。
中国の軍事費の実額は公表された額の数倍に上ると指摘し、「脅威となる国がないのに、なぜこれほど軍備増強をする必要があるのか」と述べた。
米国のその心配は分かる。02年の軍事費は米国が2947億ドルに対して中国は第4位の421億ドルとされているが、これの数倍とすると米国に匹敵する額になるからだ。また、中国は、6者協議への北朝鮮の復帰にも積極的には動いてはいない、人民元の為替管理にも不満がある、台湾への脅威も強めているなどの問題にも不満を感じているからでもあろう。
このように、米国が中国の急速な軍拡を、アメリカの東アジア戦略で、アメリカ優位の力のバランスを脅かすものと考えていることは確かであろう。しかし、実はこの演説は、米軍のトランスフォ−メイションに関連して、日本が求めている駐留米軍の縮小、移転要請に対する予防線を張る狙いがあるものだと思う。
つまり、東アジアの不安定要因は北朝鮮だけでなく中国を忘れてはいけませんよ、だから日米安保だけでなく、東アジアの安定維持のためにも日本における米軍駐留の戦略的重要性はますます高まっているのですよ、ということを日本向けに言いたかったのだと思う。
これで、米軍駐留による沖縄はじめ日本の負担と迷惑の軽減は期待できなくなったと思う。
村上新八
Fnews-brouse 1.9(20180406) -- by Mizuno, MWE <mwe@ccsf.jp>
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