フィリピンのミンダナオ島での残留日本兵問題は、ゼネラルサントスにまで出向いた公使以下大使館員の引き上げで幕となった。大変間抜けなお騒がせの一幕であった。
 残留日本兵とされる二人の氏名は間違いなかったのだから、たしかに残留の事実はあったのであろう。しかし、年令は80台だから、もう亡くなっていたのではないか。しかし、誰かがそれをネタに日本政府を騙してかねを取ることを考えたのではないか。仲介人というA氏が残留日本兵なる人物と面会した際にその場にいたフィリピン人の運転手の話では、その残留日本兵は、一見して現地人臭いし、日本語は一つも知らず、見せられた日章旗と韓国国旗の区別さえもつかなかったという。
 ゲリラ支配地域だから、ゲリラ側が残留日本兵が下山するなら、2500万円の通行料を請求すると言っているなどとも報道されている。
 これらを綜合すると、ガセネタの可能性はますます高くなる。いい加減な情報を確かめもせずに、夢は見させてはくれたが、から騒ぎした外務省のお粗末の一幕であった。
 村上新八