国がBSE対策で実施した国産牛肉買い上げ事業を悪用して50億円を超える助成金を不正に得たとして詐欺事件の裁判で大手食肉卸「ハンナン」元会長に大阪地裁は懲役7年の判決を下した。
 この事件は、買い上げ対象である国産牛肉に輸入肉を混ぜて申請し、その代金だけでなく、保管料、焼却費まで詐取した事件である。
 ハンナン元会長は、公判のなかで、「農水省が犯行を黙認、誘発した」と主張し、罪の軽減を求めていたが、これは容れられなかった。が、裁判所も、判決のなかで「農水省は、対象肉を事業に乗せることが第一で、対象外牛肉には関心が薄かった。こういった対応が犯行を助長したといわざるを得ない」と農水省の対応を批判している。農水省も「対応に不備があったことは否めない」と認めてはいるのである。
 相手は海千山千の商売人だし、国産牛肉か輸入牛肉かの判定は難しいから、輸入肉を混入してくる可能性は素人が考えても予想できるはずなのである。
 その不備を突いた犯行だが、これを見過ごしたのは故意なのかミスなのかは分からないが、それがミスであったとしても重大な過失である。これが罰せられないとは、誠に腹立たしく理不尽過ぎる話である。
 村上新八