中央アジアのウズベキスタンの反政府暴動で女、子供を含む500人に上る死者が出たという。
 ソ連圏の崩壊によって独立して以来16年間に及ぶ、元共産党第一書記であったカリモフ大統領の強権政治、縁故利権拡大の圧政に抵抗して立ち上がった民衆に対する政府軍の武力弾圧によるものだという。隣国ウクライナの民衆による政権崩壊を教訓として早めに武力弾圧に出たものであろう。   
 カリモフ政権は、この暴動は過激派のイスラム武装勢力「ウズベキスタン・イスラム運動」によるもので、民間人の死者はその武装勢力が親類を自分たちの盾としたことによるものだ、と発表している。
 ウクライナ、キルギス、ウズベキスタン、アゼルバイジャン、モルドバの中央アジア5ヶ国のうち、イスラム系はアゼルバイジャンとウズベキスタンの2ヶ国で他はキリスト教系である。また同じイスラムでも、アゼルバイジャンはシ−ア派、ウズベキスタンはスンニ派という違いがある。
 先の「オレンジ革命」で政権交代して西欧寄りになったウクライナをはじめ、ウズベキスタンを除く他の四国は西欧寄りに傾いている。ウズヘキスタンもアフガン戦争では米国に基地の使用と米軍の駐留は認めたが、これはカリモフ政権の強権性をカモフラ−ジュするための米国に対するジェスチュアだと見られている。
 ウズベキスタンには野党もありも国会もあり、一応民主政治の形はできてはいるが、共産主義時代そのままの中央統制で、主な輸出品である綿花や小麦も、その生産量や価格は国が決めている。
 この経済統制のなかでの、縁故利権拡大の長期政権だから、利権政治、政治腐敗は日常化しているであろう。
 民衆が政権交代を求めるのは当然だが、ウクライナの場合とは違って、野党の動きが見えないし、カリモフはイスラム過激派の暴動として、チェチェン紛争と同類化して、ロシアを向いている点が気になるところである。
 ウズペキスタンが第二のチェチェン化しないことを願いたい。
 村上新八