米国政府が国連大使に任命しようとしながら、米上院外交委員会の承認を得られないままその判断を本会議に委ねることになった前米国防次官のボルトン氏は、ネオコンの強硬派で、数々の異常行動、暴言で知られている人物である。
 なかでも気になるのは、「国連などというものはない。あるのは国際社会だ。それは、世界に残された唯一の真のパワ−である米国によって率いられるべきである」「もし、国連ビルの最上階から10階分がなくなったとしても、大した違いはない」という94年の発言と、「もし、今日国連安保理を作り直すとしたら、常任理事国は一つだけだ。それが世界の力の配分を性格に反映しているからだ。その一つとは米国だ」という00年の発言である。
 このような発言は、傲慢極まるというだけではなく、国連そのものを否定する発言であり、これを許す国は世界にただの一国もないであろう。 こんな狂気じみた人物を米国の国連大使として送り込もうとする米国政府の意図は何なのか。 大体が米国は国連が嫌いである。アフリカなどの国がやたらに多く、多数決原理ではアメリカの言う通りにならないからである。国連での民主主義はアメリカにとっては、うっとうしく、邪魔なのである。そこへもってきて、今年は国連開設60年の節目の年で、アナン事務総長はじめ国連幹部は常任理事国や非常任理事国の国連の拡大を図るなど国連改革を計画している。 アメリカは本当はこれに賛成ではないのである。アメリカの発言権が弱くなるからである。そこで、この改革構想を阻止するために反国連強硬派のボルトン氏を送り込もうとしているのだと思う。 村上新八