Takao Ono wrote:
> 小野@名古屋大学 です.
> 
> golden cross さんが
> 
> <d3bshi$cdv$1@news-est.ocn.ad.jp>の記事において
> popcorn05@bridge.ocn.ne.jpさんは書きました。
> popcorn05> ある民間企業が従業員に業務目的外利用を禁じたメールアドレスがあったとし
> popcorn05> て、それを従業員が使用に使ったとき、社会は、なるほど、そこの企業ではそう
> popcorn05> いう約束事を雇用契約の中に明示的あるいは黙示的に持っていたのか、そういう
> popcorn05> ところも有るんだろうな、と思うはずです。言い換えれば
> という文章でどこまでを前提にしているのかは, 本当は golden cross
> さんにしかわからないんですが、、、

わたくしの記述が他の議論の継続に何らかの支障になってはいけませんので、当
否はともかく、私の趣旨だけはお伝えしておきます。

(1)「決まり」は一般に、<ことば>が本体ではありません。必ず、その「決
まり」が意図するもの(=その決まりで「実現」しようとする価値と言ってもよ
いでしょう)が本体を成します。ここで言う或る会社の「決まり」もその例外で
はないのです。その「本体」を実現する手段として誰かの行為を禁止したり罰金
を課したりするわけです。言い換えれば、禁止されたとおりに従業員の行動を制
限し、罰金を科される行動を取らせない事によって会社としては「意図するも
の」「価値」「本体」と言ったものの実現を図る。

(2)極論すれば、当事者になってみなければ、この「意図するもの」「価値」
「本体」の意味はわからないのです。なぜならば人それぞれによってまちまちだ
から。(同一の会社の従業員同士であっても、厳密には、まちまちです。会社側
はたとい全く同一の事を念頭に入れていたとしても合意する従業員はそれぞれの
意図を持ってのものだからです)

(3)つまり、契約は、当事者間で公序良俗に反しない限りは、何ぼでも「社会
通念」や「社会常識」の及ばない奇抜な内容を取り決める事ができる。現に、我
が国法である民法も、原則として個人個人の契約内容に関しては言及しない。

このことを基にしてわたくしが言いたい事は、契約とはそういうものであるとい
うこと。当事者でなければ正確には分からないということなのです。で、このよ
うな契約を当事者でない他人が見て思う事は、事実として、

    そういう約束事を雇用契約の中に明示的あるいは黙示的に
    持っていたのか、そういうところも有る

くらいまでであろう、こう考えたわけです。これは、「他人」を「社会常識」あ
るいは「社会通念」と置き換えても同様です。あなたでさえ、ここまでは考えを
及ぼすことはできます。客観的に事実を思い浮かべるだけですから。そして、
「社会常識」あるいは「社会通念」であったとしても、これ以上のことは分から
ない。

さらに進んで、このような関係の場には、本当は、「およそ」=「定型的」に
「社会常識」や「社会通念」をもちだすことは馴染まない。これを言いたかった
わけです。

以上です。