Re: 環の 0 元について
内田と申します。
文章が、文字化けしてしまいましたので、再投稿します。
大変、申し訳ございませんでした。
小野さん(suzupmanbow.com) の投稿(<050221093030.M0145287@readme.jp>)より
> 小野と申します。
>
> 環についての基礎的な質問なのですが、加法の単位元0が、なぜ乗法の零元
> になるのでしょうか。岩波の数学事典では、さらりと書かれていて、その説明
> がありません。自分でも導くことができないので、識者の御指導を仰ぐ次第で
> す。よろしくお願いします。
>
>
丁寧に証明するとしますと、こんな感じになるのでしょうか。
・R を加法 +, 乗法 * からなる環とし、o を加法 + の単位元とする。
このとき、任意の R の元 a に対して、
a * o = o * a = o
が成立する。
さらに、もし、R の元 ε が、任意の R の元 a に対して、
a *ε = ε * a = o
を満たすならば、
ε = o
でなければならない。
証明)
最初のステートメントの証明
a を R の任意の元とする。
o は、加法の単位元であるので、
a * o = a * (o + o).
従って、分配律より
a * o = (a * o) + (a * o).
R は、加法 + に対し群になっているので、a + o の加法による逆元
を両辺に加えて、
o = a * o.
o * a = (o + o) * a であるので、同様にして
o * a = o.
2番目のステートメントの証明
a を R の任意の元, e を乗法 * の単位元とする。
a = a + o = (a * e) + o.
ε の性質より、o = a *ε が成り立つので、
a = (a * e) + (a *ε).
従って、分配律より
a = a * (e + ε).
同様にして、
(e + ε) * a = a.
従って、e + ε は、乗法 * に対する単位元となる。
e は、乗法 * に対する単位元であるので、
e + ε = e.
R は、加法 + で群なので、両辺に、e の加法による逆元を加えて、
ε = o.
では。
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内田
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