Path: ccsf.homeunix.org!ccsf.homeunix.org!news1.wakwak.com!nf1.xephion.ne.jp!onion.ish.org!news.daionet.gr.jp!news.yamada.gr.jp!newsfeed.media.kyoto-u.ac.jp!jpix!newsfeed1.dti.ad.jp!giga-nspixp2!newsgate1.web.ad.jp!news501.nifty.com!not-for-mail From: AMAN (AMAN) Newsgroups: fj.rec.animation.oldies,fj.rec.tokusatsu,fj.rec.comics,fj.rec.novels,fj.rec.sf Subject: kon'na kotomo / =?ISO-2022-JP?B?GyRCJDMkcyRKJDMkSCRiJCIkbSQmGyhC?= =?ISO-2022-JP?B?GyRCJCskSBsoQg==?= (1/2) Date: Fri, 22 Oct 2004 16:57:45 +0000 (UTC) Organization: kojin Lines: 144 Message-ID: NNTP-Posting-Host: ntceast036209.east.dup.ppp.infoweb.ne.jp Mime-Version: 1.0 Content-Type: Text/Plain; charset=ISO-2022-JP X-Trace: news511.nifty.com 1098464265 15944 220.219.0.209 (22 Oct 2004 16:57:45 GMT) X-Complaints-To: - NNTP-Posting-Date: Fri, 22 Oct 2004 16:57:45 +0000 (UTC) X-Newsreader: WinVN 0.99.7J PL01 (x86 32bit) Xref: ccsf.homeunix.org fj.rec.animation.oldies:64 fj.rec.tokusatsu:46 fj.rec.comics:552 fj.rec.novels:35 fj.rec.sf:24 # 超長文です。 2001年と2003年の夏頃、「こんなこともあろうかと」というセリフについて 記事を投稿した天沼です。その節は、ありがとうございました。 さて、以前いただいたフォローに「明智探偵あたりも言ってそうだ」という のがありました。当時はそれきり忘れていましたが、ちょっと前、何気なく 読んでいた乱歩作品で問題のネタに遭遇したことから、あらためて全集をチ ェックしてみた結果、結構な数の事例を確認することができました。 というわけで、3年落ちにはなりましたが、ここにご報告いたします。 で、ついでといっては何ですが、今回もまた、これまでのまとめとか書いて おきます。伝聞のまま自分では確認してない情報もありますし、お気づきの 点があれば、ご指摘いただけると幸いです。 ----- 1. 代表的なネタの使い手 (1) 『宇宙戦艦ヤマト』の真田さん いかにも連発してたように思われがちな真田さんは、実は、TV版パート2の ときに1回言っただけ。 # 第10話。 漫画や小説関係でも、少なくとも以下の作品では言ってません。  * 松本零士の漫画(文庫2冊の全部): パート1、パート2(中絶)、短編  * ひおあきらの漫画: パート1(原作・藤川桂介)、『さらば』  * 石津嵐の小説(パート1、原案・豊田有恒)  * 若桜木虔の小説: 『さらば』、『新た』(TV版パート2の一部を含む) ちなみに、一番最初のTV版パート1で披露された真田さんの発明類は、多め にみてもせいぜい5つ(「秘密」兵器としては2つぐらい)。実際の功績として は発明と破壊工作が半々くらいだったのに、なぜか前者の印象ばかりが強い のは、やっぱり空間磁力メッキの威力かも。 # [発明もしくは秘密兵器] # 第9話のアステロイドシップ計画、第11話のバルーンダミー、 # 第18話のシームレス戦闘機、第18話の義肢に仕込んだ爆弾、 # 第26話の空間磁力メッキ # [破壊工作] # 第8話の反射衛星砲、第11話のデスラー機雷、第18話の要塞島、 # 第22話のドリルミサイル ついでにいうと、「あろうかと」と並んで映画版DVDのCFに使われたらしい 「テストがまだ」ネタのほうは、TV版パート1の時点ですでに2回登場してま した(波動砲と放射能除去装置)。 # 第5話 「待て、テストもしてないのに、波動砲は危険すぎないか」 # 第26話「ユキ、やめろ、まだテストもしてないんだぞ」 (2) 『ウルトラマン』のイデ隊員 真田さんの先輩格としては比較的有名な人。発言回数は2回。 # 第16話と第25話。 ちなみに、発明の数は15で(半分近くは事後対策)、1話あたりに換算しても 真田さんの2倍ほどになります。「新兵器なら何でもおまかせください」と いう発言もあるぐらいで(第27話)、「あろうかと」と発明狂キャラの組み合 わせという点でも、さきがけ的な存在かと思われます。 # 第12話のバリアマシン、第16話のパンスペースインタープリター、 # 第16話のマルス133(こんなこともあろうかと)、 # 第21話のマットバズーカ、第23話のスペクトルα線、同β線、同γ線、 # 第24話の脱出ハッチ、第25話の水爆探知機(こういうこともあろうかと)、 # 第25話の強力乾燥ミサイル、第27話のビーコン、第29話のペルシダー、 # 第32話の冷凍弾、第36話のQXガン、第37話の怪獣語翻訳機、 # 第37話のスパークエイト、第38話のニードルS80型 (3) 『サンダーバード』のパーカー 秘密兵器ネタでこそなかったものの、イデ隊員より数カ月早かったことは事 実です。発言の内容は、鉄道の車内メニューにココアがないことを嘆くペネ ロープに、ココアを入れたポットの用意があることを伝えるものでした。 # 第09話(日本語版)。 なお、この件に関しては、TV放映時に記録を取り損ねた上、ソフトのレンタ ルを見かけないこともあって、詳細を確認できていません。 (4) 江戸川乱歩の通俗冒険探偵小説のキャラクターたち 乱歩作品における「あろうかと」は、昭和5年(1930)の『魔術師』から昭和 31年(1956)の『魔法博士』まで、9作品で12例を確認しています。今ならギ ャグとして扱われそうな、ご都合主義的な事例の多さが特徴です。 # 怪盗と探偵の「あろうかと」合戦をテーマにした、椎名高志の『頭脳戦』 # では、怪盗の自爆をシェルターでしのいだ探偵に、「わかっていたなら爆 # 発自体を防げ」という趣旨のツッコミが入るのですが、本家のほうの明智 # たちは、ほとんどの場合、きっちり二十面相の自爆を阻止しています。 なお、乱歩の一発逆転ネタには、もうひとつ「奥の手」というキーワードも あって、特に少年探偵団ものでは、かなり多用されています。 # 「ワハハハ……、どうだ、おれの奥の手がわかったか」 # (1960年の『電人M』における二十面相) (5) 『サクラ大戦』の紅蘭 web上を軽く眺めてみた印象、というか私の偏見かもしれませんが、「あろ うかと」での知名度は、すでに真田さんに迫っているような気もします。デ ビュー作のサターン版(1996/09/27発売)だけで6回は言っている上に、続編 やアニメなども多数製作されていることを考えると、問題のネタを紅蘭の固 有技と思ってる人がいても不思議ではありません。ちなみに、お笑い系なが ら繊細な面を持つ発明狂らしいので、キャラクター的には真田さんというよ り、イデ隊員のフォロワーと思われます。 2. 手持ちの資料を眺めて考えたこと 一般に「こんなこともあろうかと」の元祖として扱われることの多い真田さ んは、実際には「たぶんこんなこともあろうと思って」と言っていたそうで す。真田さんのように末尾に「思って」がつくパターンは、私の手持ちの資 料でも少数派で、真田さん自身とそれに先行する乱歩の事例(乱歩の場合は 「思って」の有無が半々)を除くと、『うる星やつら』の3例を含む5例(残り は90年代の作家2人)が残るだけです。そして、この『うる星』の事例には、 次のような特徴があります。  * 比較的早い時期から、明らかにギャグとして使われている    1例目の登場は1981年で、真田さんの発言からは3年後、ヤマトのTV版    パート3が終了して間もない時期(手持ちの資料のなかでは最古の「あ    ろうかと」ギャグにあたります)。  * すべて「思って」型である    ちなみに、3例目(少年サンデー、1986年44号)のちょっと前には、同    じ雑誌でR田中一郎が「思って」抜きのセリフを言ってます(37号)。 要するに、ネタのルーツが真田さんであることの証拠かもしれないってこと です。だったらどうして「思って」型ではないセリフが定着しちゃったのか というと、たぶん、語呂のよさとか、その程度の話なんだと思います。イデ 隊員との混同もあったでしょうし。 3. 今後 まず、ネタとして成立した時期やなんかを探る方向でいえば、ヤマトのTV版 パート1から上記『うる星』までの期間を集中的に調べたいところですが、 資料の当てがまったくありません。 # 特に、月刊OUTとか、オールナイトニッポンのラジオドラマとか。 というわけで現在は、単純に乱歩から遡る方向で、ルパンやホームズ、黒岩 涙香あたりをあたってみようかと思っとります。まあ、実際にどうなるかは わかりません。 ----- 続く ----- -- AMANUMA