松田さん wrote...
Message-ID: <2s60kcF1hl319U1@uni-berlin.de>
> 引用文は、国家主義的ではあるが、キリスト教原理主義的でもある、
> 奇妙な混合物です。ただ、ゲルマン民族の優越は主張していない
> のじゃないでしょうか。

ゲルマン民族優越主義はルエガーではなくシェーネラーの方が熱心に唱えて
いました。あまりに極端かつ過激に走ったため、より穏和なドイツ民族主義
派に支持者を奪われ、末期は没落してしまったようです。

正確に言えば、ゲルマン民族優越主義の元祖はシェーネラーでなく、彼が登
場する以前から広く存在していたみたい(下記引用参照)。シェーネラーの歴
史的役割はヒトラーに強烈な影響を与えたということ、単にそれだけに過ぎ
ないのかもしれません。

# 村瀬興雄:著『アドルフ・ヒトラー』中公新書:刊
# 第二章 シェーネラーと全ドイツ主義運動 反西欧主義と人種論より引用
| …古代ゲルマンには「自由を愛する」原始部族のすぐれた愛国的勇士たち
| がいたという考え方、人種間の闘争を不可欠と考える社会ダーウィン主義、
| ゴビノー以下のアーリアン人種=白人人種至上主義、ゲルマン原始文化を
| 崇拝するワグナー思想、ニーチェの強壮で無慈悲な「金髪の野獣」への賛
| 美と「弱者の宗教」であるキリスト教への非難、デューリングの反資本社
| 会主義学説やシュテッカーの反ユダヤ主義など、みなシェーネラー主義と
| の共通性をもっていた。このように、シェーネラー主義はオーストリアの
| みならず、ヨーロッパの近代思想に深く根差していたのである。

資料の収集と読み返しでフォローが遅くなりました。
間違い等があったらフォローをお願いします。>識者

-- 
中本徹也 (NAKAMOTO Tetsuya) @ HACHIOUJI City, TOKYO.
tetsuzou@pop02.odn.ne.jp