私はほくなん。
霞を食うひまはないが、カロリーメイトと今の季節に
お友達になるほどせっぱ詰まってもいない。

とはいえ、微妙に忙しい最中にあることは間違いない。
今日のご飯は近所のスーパーで買った、パックのすし
315 円税込み。適当にしょうゆをまき散らかし、車の
運転をしながらほおばっていた。

何せ私はすしが好きだ。すさん、じゃなかった酢酸が
きっと疲れを癒してくれそうな気がするし、何となく
高そうなイメージがあるものを食べている時点で少し
気分が持ち直す。この値段で、ちゃんと 8 かん入りと
いうチープさも見逃せない。

しかし、悲劇は突然やってきた。
わき見をせず、しっかりと前を見つつ視界の外にある
すしをつかんでほおばっていたときのこと。

不意にそれは私の口の中を襲った。
あわてて吐き出そうか、いっそこのまま噛み砕くか、
得意の舌技 (発揮する相手はいません) で何とかして
しまおうか、それなりに幸せな気分は一転し、一瞬の
うちにさまざまな思考が頭の中をよぎる。

結局、私は舌技を使うことにした。
視点は相変わらず前を向き、冷静な自分を装いながら、
微妙な舌使いと甘噛みでそれを分離し、吐き出す。

ふっとため息をつきながら、私は悪態をついた。

えびのしっぽめ。

                  ほくなん % 焼き物とかフライだと
                             躊躇なく食べるけど