本記事はブリジストンの折りたたみ自転車、トランジットスーパーライト
(TSL14) のインプレッションである。なお、この記事はほくなんの体験を
元にしているため、一般人と価値観等に違いがある可能性がある旨ご留意
いただきたい。                                           (※編注)

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モテモテ! トランジットスーパーライト

「女子高生に注目を浴びる」。すでに長きにわたりつつある負け組人生に
おいて、こんなことが過去にあったであろうか? そう、この方法は完全に
各都道府県の条例等に抵触しない、合法な、注目を浴びる手段だ。モノで
つるだなんて人としてどうよ、などというツッコミは却下だ。もう、そう
いうことをいっている余裕はない微妙なお年頃にどっぷりとつかる現在、
おぼれるものはわらでもつかめ、木白山奇氏ばりに、 spam に食いついて
でも縁をつかめ、と私の中の何かが叫んでいるのだ。

それはさておき、この注目度はかなり高かった。田舎だから、という身も
ふたもない話はさておき、それはいったいなぜだろうか。

その原因は小径軽量折りたたみ自転車の持つ、特異なフォルムであろう。
さすがに網走でも折りたたみ自転車は広く使われているものの、ここまで
小径のものはまったくお目にかかれない。それなら HANDY BIKE でもいい、
とかいうツッコミはあえて受けないこととして、街中をさっそうと走って
みたり、書店の前に止めたりするだけで、すれ違う女子高生から「何あれ、
小さい」とか、「かわいい」などの、違うところでいわれたらショックで
涙にくれるような言葉で賞賛されてしまうのである。スタンドのかわりに、
サドルのポールを地面につけると共に、車体を折りたたむことで前後輪と
あわせて三点支持の姿勢で立たせておくため、その印象はより強くなると
いうわけだ。信者は「いちいち折りたたむなんてめんどくせー」などと、
罰の当たることをいってはいけないらしい。さっそうと折りたたみ、去る
ために練習を重ねろ。 30 秒で用意しな、という金言を自らに叩き込め。
そんな血をにじむ努力の向こうにモテモテ人生はきっと待っているんだ。
小径車だから地道にこぎ続けないと全然進まなくて疲れる、なんて弱音を
吐くな。そうやって堕落して生きてきた結果が負け組人生だ。今、ここで
変わらないでどうする、と自分にいい聞かせろ。

などと、自己啓発セミナーというか洗脳のような感想はさておき、実際に
使用してみて気づいた注意点を挙げてみたい。

基本的に車体は軽量で小径のため、走る際は姿勢に気をつけないとかなり
不安定になる。片手運転などもってのほかなので、交通マナーの向上にも
役立つであろう。さらに走行中も簡単に車体が持ち上がるため、ちょっと
した段差でも簡単にバランスが崩れるので、慣れるまでびくびくすること
必至であろう。つまり、この自転車に乗っているだけで、あなたもきっと
バリアフリーの大切さを骨身にしみて感じることができるのだ。こうして
自分以外の人たちに心配りのできる人間になれば、モテモテ人生はやって
くるはずだ、多分。

鍵はハンドル部にブレーキラインのような細身のものが内蔵されている。
引き出して装着するが、基本的に飾りと割り切ってまともな太さのものを
買ったほうがよいであろう。なお、私は車体購入時に丸型のアルミ製鍵を
別途購入したものの、この CROPS Beetle.C という鍵は不良品で、あっと
いう間に壊れてくれた。さすがに今まで積み重ねた負け組の称号は、そう
簡単には外れないらしい。元々の鍵がワイヤータイプではあるが、簡単に
切れそうな細さなので、別途太目のワイヤーロック、さらにお好みで金属
鍵を購入した方がよいであろう。基本的に軽量で、さらに立たせるときは
構造上折りたたむ必要があることから、固定物にくくりつけておかないと
第三者が持ち去るのは非常に容易そうだ。周囲に固定できる場所がないと、
不安で不安で仕方なくなること請け合いである。しかしそんなことは当然
おくびにも出さずに、自転車に注目の集まっているなか、さっそうと鍵を
はずして走り去っていくことがモテモテ道を突き進むための第一歩である。
なお、戻ってきた時点ですでに持ち去られていたとしても、当方は一切の
責任を負わない。それはきっとあなたにはトランジットスーパーライトは
似つかわしくなかったので去っていったのだろう。とかいっているうちに、
当の本人のものが盗まれたらおちがつくのだが、そんなおちはいらない。
私はこのまま、モテモテ道を進んでいきたいのだ。邪魔をするな。

とまあ長文になったが、この自転車を買ったおかげで、筆者は間違いなく
以前とは違う客層からの視線を浴びている。そこから先に進むには、何か
トランジットスーパーライト=モテモテ人生>>|越えられない壁|>>ほくなん
という感じがしないでもないが、きっとそのうちいいことあるさ、という
奇跡を信じるには人生待ちすぎている人、もう何でもいい人、っていうか
やせなきゃまずい人などは、怪しい通販グッズや怪しい出会い系サイトに
うつつを抜かす前に試してみてはいかがだろうか。ひょっとしたらあなた
にはモテモテ人生がやってくるかもしれない。私には来てないがな。

                                                  (文責  ほくなん)