プロ野球加盟料規定と独占禁止法
長島です。
fj.rec.sports.baseballとfj.soc.lawにクロスポストしていますが、
この記事自体は法的な検討を期待するという意味をこめて
Followup-To: fj.soc.lawとしています。
法的な話とは別にプロ野球の問題として話したい方のフォローも歓迎ですが、
その場合はfj.rec.sports.baseballへ絞って下さいませ。
最近話題になっている近鉄球団の一連の問題に関連して、
(BlueWaveも一枚噛んでいるんで、他人事ではないのだが)
注目されている野球機構「加盟料」「参加料」の規定。
いわゆるプロ野球協約は以下を参照ください。
http://www.jpbpa.net/convention/11.pdf
36条の5(新参加球団に対する加盟料)
=60億円
36条の6(既存球団の譲受け又は実際上の球団保有者変更に伴う参加料)
=30億円
で、よくWeb掲示板なんかで
「これって独占禁止法違反じゃないの?」
って意見…というより愚痴を見ます。
(おそらく独禁法がどんな法律かも知らないで書いていると思いますが)
私はというと、直感的には「違反しないんじゃない?」と思ったんですが、
じゃぁ検討してみると…わからなくなっちゃっいました(^_^;
以下、私が考えてみたこと…。
この件に独禁法の適用を検討するなら、
日本野球機構が独禁法2条2項に言う「事業者団体」であり、
(これ↑だって本当は検討が必要なんでしょうけど)
上記の規定が独禁法8条で禁止されている項目のどれかに抵触するかどうか
…になると思います。
今回は2号〜5号はまず考えなくていいように思うので、
あとは1号の「競争の実質的制限」に当たるかどうか…。
ある団体に参加するに当たってお金を払わなければいけないケースは
他にもいくらでもあるでしょうから、
加盟料や参加料の規定そのものが該当するってのはちょっと極端でしょう。
(これが直感の中身・第1でした)
ですが、上記の金額はなかなかの高額です。
そうすると、こういう金額を設定することが
「実質的に日本野球機構への加盟や参加を制限している」
と判断されてもおかしくないかも…とも考えられます。
しかしながら、加盟料や参加料を払わないことで被る不利益って
「日本野球機構に参加できない」ことだろう、
日本野球機構に参加しなくたってプロ野球事業は(やろうと思えば)できる。
だから「競争を制限」しているわけじゃない…という反論もあるでしょう。
(これが直感の中身・第2…というか、こっちがオリジナル)
ですが、今の日本で、日本野球機構に加盟もしくは参加せずに
プロ野球事業をやるのは事実上無理だろう、
ということは、事実上プロ野球事業への参入を制限しているのではないか?
…という反論にも説得力を感じます。
(なにせ、「競争の『実質的』制限」かどうかの判断なんで)
以上のとおりで、いまだ結論を出せずにいます。
「違反しないんじゃない?」という直感は、今も頭に鳴り響いていますが…
きっとどこかではまっちゃっているんだろうと思うんですが…
どうでしょう?
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Yasuyuki Nagashima
yasu-n@horae.dti.ne.jp
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Fnews-brouse 1.9(20180406) -- by Mizuno, MWE <mwe@ccsf.jp>
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