《国の保障で安心して暮らせるようにすることが正しいかどうかが問題》

年金改革でも日経はいまだに『支払いと収入のバランス論』に終始しているようだ。
年金制度はソビエトなど社会主義が最盛期のとき完成した制度だ。
『国の保障で安心して生活できる理想の国』の建設と言う社会主義運動に強く影響さ
れている。
当時はラジオをつけるとモスクワや北京から『国の保障で暮らせる天国のような理想
の国ができている』と言う共産主義の宣伝放送が流されていた。
世界中の国で自由主義国を社会主義国にしようという運動が盛んだった。
中国やキューバでは社会主義化が成功し、ベトナムでは政権奪取寸前になっていた。
日本でも国会議員の3分の1は社会主義政党だった。
また社会主義に影響された革新知事が『国の保障の充実』を主張し自治体の選挙に勝
ち勢いがあった。
当時は現在とはまったく別世界の様相だったのだ。

今問題になっている年金制度はこのような雰囲気の中で制度が完成したのだ。

つまり『国の保障で安心して暮らせる理想の国』と言う国家哲学が決定され実施され
ているわけだ。
年金のみならず社会保障改革はここの部分を問い直さずして問題解決などしない。

『国の保障で安心して暮らせるようにすることが正しいかどうか』が問題なのだ。

国の国家哲学、国家理念の部分こそ論じられるべき問題なのである。

この視点が全く欠けているように見えるのが経済のデータ分析に長けた日経だ。
日経は目先のデータもさることながら根本的な設計思想の部分に目を向けるべきだ。