先の日朝会談は全く成果なく終わり、政府は対話と圧力の両面作戦で拉致問題に
対応しようとしている。圧力の面では、9日に成立した「改正外為法」で北朝鮮への
送金を許可制にすることを可能にし、更に万景峰号などの入港を阻止できる「特定船
舶入港禁止法案」を固めた。これらの立法に対しては、北朝鮮は当然のことながら激
しく反発している。
   しかし、北朝鮮は、これによって折れてくることはないであろう。金日成、金正
日親子の長年の失政によって、開発途上国以前の開発未着手国、世界の最貧国にな成
り下がってはいるが、気位と強がり、空威張りだけでもっているような国だからであ
る。日本の「圧力」には「超圧力」をもって対抗すると息巻いているのである。
   食糧やエネルギ−は底をついているが、将軍さまと取り巻きが食うくらいのもの
がある限り、人民が飢えようと、子供が餓死しようと、そんなことはこたえない体制
なのだ。だから、そんな圧力には歯を食いしばって耐えるはずである。
   圧力を掛けるなら、北朝鮮が嫌がっているところに圧力を加えなければ効果はな
い。それは「ならず者国家」と名指されていることなのだ。アメリカが北朝鮮を「な
らず者国家」と名指す理由の一つとして「拉致」を明確にすることである。現在は
「テロ支援」とか「核開発」をその理由としてあげているが、これに「拉致」を加え
るのである。
   北朝鮮は「ならず者国家」という名指しを嫌がって、これを外してもらいたいと
切望しているから、ここが最大の弱みであり、ここにアメリカが圧力を加えることが
一番効果的であると思う。
   村上新八