ほくなん: まあぶっちゃけ、いつものとおりなんだけどね。

ほくなん: 変わらない日常、変わらない夜。
          今日の占いカウントダウンが一位だったからって、
          そんな奇跡なんか、おこらないって、
          わかってるけどさ。

ほくなん: わかってるけどさ。

ほくなん: はあ。

ほくなん: 朝に舞ったパウダースノーが野を白く飾り、
          街を静けさに染める。

ほくなん: そんな夜に、また一人でこの日を過ごすだなんて......
          しかも残業までして。

なぞの声: どうしたんだい、相棒?
ほくなん: ? 誰?

なぞの声: 俺のことかい?
          俺は、お前のことをいつも見守っている、
ほくなん: 神様ですかっ!?
なぞの声: 心やさしき悪魔だ。
ほくなん: (がくっ)

ほくなん: いや、悪魔だっていわれましても。
          しかも心やさしきって。
なぞの声: まあ、普通の人間には心やさしき神が宿るもんだがな。
          特にこんな日には。

なぞの声: お前みたいに人間関係に疲れてやる気をなくし、
          彼女を作ろうと努力するでもなしに、
          もてない自分をどうにかしようともせずただ嘆くだけ、
          微妙に鬱が入りかけてて仕事もだめだめ、

          今日も持って帰ってきた仕事に手をつけるでもなく
          ただ放り投げてくだ巻いてる、
          ついでにふつーにケーキを一人分買うのは寂しいやつだと
          思われそうだから気が引けるからといって、コンビニで
          ケーキじゃなくてデザートを買ってお茶を濁そうとする、
          そんなやつにはそれ相応のものが宿ることになってる。
ほくなん: そんな、ずばずばとひどいことを......
なぞの声; 悪魔だからな。
ほくなん: ......にしても、そういうもんなんですか?
なぞの声: ああ、そういうもんだ。
          まあそれでもお前はいいほうさ。
          これで自分がもてないのを誰かのせいにしようとしたり
          するとだな。
ほくなん: どうなるんですか?
なぞの声: 久米田康治[1]が宿ることになっている。
ほくなん: ......漫画家の?
なぞの声: ああ。

なぞの声: まあ、それはさておきだな。
ほくなん: はい。
なぞの声: そんなだめ人間君にもクリスマスプレゼントをやろう、と
          一応考えてやったわけだ。ありがたく思え。
ほくなん: え? 悪魔なのに?
なぞの声: 心やさしき、といったろう?
          お前、一人でこんな夜を過ごすのは寂しいだろう?
          というか、本人実はそっちは大した気になってないけど、
          周りから「独り身だ」とかいわれたり思われたりするのが
          つらい年頃になってないか?
ほくなん: はい、実は。
なぞの声: そんなお前の気苦労をなくしてやろう。
          ありがたく思え。

(......)

ほくなん: はっ!
          ......?

ほくなん: 夢か......
          にしてもいったい......
なぞの声: 夢じゃないさ。
          そろそろ効いてくる頃だぞ。
ほくなん: えっ?

ほくなん: おお、この体にみなぎる感覚はっ!!

ほくなん: っておもいっきり風邪じゃないですか!
          なんだよもう、これじゃ飲みにもいけないよ......
なぞの声: かえっていいんじゃないのか?
          「風邪を引いていたから、相手にうつしちゃ悪いんで
            仕方なく独りで寝込んでいた」
          とかいう方が、まだ外聞がいいだろ。
ほくなん: うー......
          鼻水も止まらないし。
          かみすぎでひりひりする......
なぞの声: /~ 真っ赤な おっはっなっのー
             ほくなんさんはー
             いっつもみんな のー
             わぁらぁい も のー
ほくなん: さらに替え歌まで......
なぞの声: /~ でも そのとっしっのー
             クリスマス の ひー
             サンタのおっじっさんはー
             きませんでっしったー
ほくなん: 救われないし......

なぞの声: まあ、あれだ。
          とりあえず今日は羽目をはずすでもなく、
          酒でもかっくらって寝とけってこった。
          明日も仕事だしな。
ほくなん: そうします......
なぞの声: きっとだ。
          来年、もうちょっとがんばれば、きっと、
ほくなん: ......そうですよね、きっと。
なぞの声: きっと、来年の今頃は、
          本当に書くねたがなくなって散々悩んだ挙句、
          のりたま氏が主人公のクリスマス大長編、
          「ロンゲスト、グッドバイ」
          を書き上げているだろうさ。
ほくなん: ......だめじゃん。
ほくなん% 本当にふらふらだし

[1] http://websunday.net/rensai/set_kaizo.html