イラク復興ビジネスをわがものにしたい米国――、
現在、イラクの復興事業資金として提供されると決まっている2兆円は、
米国の拠出金であるから、米国の裁量で自由にしてもおかしくはない印象
を与える。
しかし実は米国の野心はこの2兆円に止まらない。復興事業が一旦米国の
思惑通りに動き出してしまえば、米国企業のノウハウがイラク全土を支配
することとなり、日本はじめ国際社会から拠出される資金は無論のこと、
将来イラクの原油からあがる莫大な利益もその支配下に組み込まれざるを
得ない状況になってしまう。

米英の戦争に協力した60有余カ国にも恩恵を与えるとはいっても、巨大
な復興事業に関するノウハウを持ち合わせている国は、ほんの数カ国に過
ぎず、大部分のいわば弱小国は、米国企業の孫請け程度のほんのおこぼれ
にあずかるに過ぎまい。

米政府の駆け引きは見え透いている。すなわち、フランスや独逸やロシア
が復興事業に参加させて貰いたいならば、彼らが有する対イラク債権の削
減乃至は放棄を促し、事業資金全体のパイを膨らませ、米国企業が一層有
利になるように事を運び、併せてイラク問題を国際社会の共有にして米英
単独行動の印象を消してしまおう、という魂胆である。

さて、巨額の対イラク債権を有し、米国のイラク攻撃を支持し、世界ナン
バー2のイラク復興資金の提供国である日本は、一体如何なる厚遇を得る
ことが出来ようか?