常泉です。

双子のパラドックスは、例えばシュッツによれば、
「双子の姉が、地球に双子の妹を残して、姉の時間で7年の間、
光速の0.96の速さでロケットに乗ってまっしぐらに進む。
次に、瞬時にしてロケットを反転し同じ速さで地球に戻った場合の
姉妹の年齢」に関するものである。


この様な状況下で、当然のことであるが、相対論でもT理論でも、
姉が地球に戻ったとき、姉は14歳年が増えている。

次に、姉(の系)から(地上に残った)妹を観察すると、相対論では、
自分(姉)が反転開始直前(A時空とする)に7歳増えているのに対し、
妹は約2歳だけ増えている。
瞬時の、反転終了直後に姉が妹を見ると、妹は約48歳も年が増えていることになる。
姉の瞬時の反転の間に妹は一気に約46年経過している。そして、
姉が地球に戻ってみると、妹は更に2歳増えて合計50歳年が増えていた、とされる。

この状況を、相対論に則り、少し詳しく説明すれば以下のようになる。
姉の反転開始直前のA時空で、姉が、妹の時計が2年を指していると認めることは、
ローレンツ変換式で与えられるが、その確認は次のようにして達成される。
姉の乗ったロケットは大変長く、そのロケットには無数の窓が付いている。
そのためロケットが地球を出発しても、地球上の妹が持つ時計を直近で
直接観察できる窓が常に存在する。
たまたま反転開始直前(A時空)に、妹を直近で見通す窓際にいた者(Mとする)が
妹の時計の時間を読んで記録する。
この記録が姉が認識した妹の時間として認められるのは、
妹とMの空間位置が一致する時空での観測であることと、
ロケット内は同一系内なので姉とMの時計は常に一致しているからである。
姉の瞬時の反転中に妹は46年を経過するが、反転開始から反転終了までを
前半と後半に分けると、妹は前半と後半でそれぞれ23年づつ経過することが
メラーの教科書 に示されている。これは反転開始(A時空)から
一瞬ロケットが地球に対して静止状態(B時空とする)になるまでの間である。


 
以上の相対性理論の説明に対する問題点を探り出してみよう。
そこで姉が反転中の反転の前半部分、即ち、反転開始(A時空)から一瞬の静止状態
(B時空)までの間を考えることにする。
A時空で姉(M)から見て妹は確かに2年を指している時計を持っている。
ここで、Mが妹の時計を確認している同一空間点では
情報伝達時間は無視できるので、後で妹はそのとき25年を示す時計を持っていた
とは主張できないことに注意が必要である。
A時空で姉とMは7年を指している時計を持っている。

Mが7年を指している時計を持っていたことは、妹が直近で見ていたので
確認されている。B時空では姉から見て妹は確かに25 (2+23)年を
指している時計を持っていた。妹が25年を指している時計を持っていたことは
Mが直接窓から直近で見たので確認されている。何故ならば、
MがA時空からB時空に移る間、ロケットの減速加速度は無限大と考えて良いので、
Mはその間妹を直近で常に見ていたと言えるからである。
A時空とB時空間は、姉のロケットでは瞬時に経過しているので、B時空でも
姉とMは7年を指している時計を持っている。Mが7年を指している時計を
持っていたことは、妹が直近で見ていたので確認されている。

さてA時空からB時空に移る間、 Mと妹は同じ空間座標を共有していた
と考えることができる。そこで次のような事態を考えよう。
A時空でMと妹はそれぞれ別の新しい時計を持ち出し、
その別の時計の時間を双方とも0に合わせる。
同時に姉(M)と妹ともに、自分たちの空間座標も付け替えて、
Mと妹が現在共有する座標を原点と見なすことにする
(このような基準の変換は時計を取り替えているのであるから、
相対性理論ではいつでも許される)。
A時空からB時空の間、Mと妹が新たに持ち出した
2つの時計の進み具合を調べることにしよう。
空間を共有するので、メラーの式からもA時空からB時空間の空間長が0なので
加速度を無限大とすれば、Mから見た妹の新しい時計の進みは0となる。
Mの時計の進みが0なのは当然であるから、結局、両者に時間の差は出ない。
ローレンツ変換を適用しても違いを見いだすことはできない。


以上の結果
(1)  A時空からB時空間で、新しい時計では
妹と姉(M)の時間の進みは両者とも0で一致している。
A時空からB時空間で、最初の時計では
妹の時計は23年進み、姉(M)の時計は少しも進まない。
同一人物が持つ2つの時計の進みが異なるのは矛盾である。
従って、相対性理論は間違っている。

T理論では時間が普遍なので、このような矛盾が生じることはない。

(2) 相対性理論の異常性は、23年間の間妹が少しの時間も進まないMと
生活を共同できるということを考えても明らかである。
時間の進みの異なる物質が同一空間を占めことが可能とすれば、
全ての物理現象に破綻が生じるのは明らかなためである。

(3) 相対性理論が与える解答に対する疑問として、もっと単純に、
次のように指摘することもできる。
上記の説明にもかかわらず、妹の立場からは、B時空はもとよりA時空においても
妹は25年を指す時計を持っていた、と主張するだろう。
しかし、上記の考察からも明らかなように、姉はMが確認した事実を証拠として
A時空で25年の時計を持っていたという妹の主張を認めない。
姉が認められないことを妹が主張することは既に物理的矛盾となっている。

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「T理論」の骨子
1. 時間は普遍である。その反面、光速度は不変ではない。
2. 物質の波動関数は実在である。その反面、光は実在しない。
3. 運動により、質量エネルギーは不変である。
4. 力の大きさは従来の2倍である。
5. 速度の異なる系間では4元座標が均等に収縮する「T収縮」が起こる。

「T理論」から得られるいくつかの結果
1. 水星の近日点移動が軌道の数値計算から99.9%以上の正確さで計算できる。
   この軌道計算は任意の楕円運動で可能である。
2. 水素原子のエネルギー準位が従来より正確な値として与えられる。
   2S(1/2)、2P(1/2)に関しては、ディラック方程式の解に比べ
   実測値との誤差が10%以下になる。
常泉 浩志   <http://www3.ctktv.ne.jp/~tsuneizu/>