「夏の夜」

寄ろうかな
夜 私は縁る木を見上げて
木陰に拠る

そこは月光の影  そこは夏の陰
そこで 生きたまま死んでいる木を見ている
と 後ろで
サクソフォンが光った
ピアノがのたうちまわっている
詩のないところで
真昼の大地で  夜のない町で

どこかで  ヘミングウェイが鐘を鳴らしている
銃声で 鐘を突いている   もう 
死んでしまうのかい、ヘミングウェイたちよ