>>  (u-ogeshi <u-ogeshi@ma4.seikyou.ne.jp>) さんは
>> 『Re: 別に用事はありませんが』の中で書きました。

 > ◆Nachi Yumesawaさんの<3D4A95D2.BB59E9DB@mac.com>から
>> のりたまどん
 >
 > なんか嫌な想い出を思い出しそうで思い出せない今日この頃。

なにもすることがなくて、どこにも行くだけの金もなくて、
クーラーもない四畳半一間の下宿に半裸で転がって、じりじり
と照りつける日差しを堪えている夏の昼下がり。

「ああっ、はらへった〜」と青年はつぶやく、
しかし、台所にはなにもありません。

「こんなとき、炊飯器に残り物ご飯でもあれば、
 ふりかけでもかけて腹いっぱいができるのに。」
そう独り言をいうと、とつぜん窓の外で大きな声がしました。
「その願い聞き届けたり〜」

みると、2階の下宿窓のそとにアラビア風の大男がぷかぷか
浮かんでいるではありませんか。
「炊飯器に、ご飯の残りもの、そして、ふりかけだな、
 ふりかけはなにがいい」
不意をつかれて呆然としていた青年は
「の、のりたまでいいです。」と答えてしまいました。
「ふりかけはのりたまだな、
 これで3つの願いかなえてやったぞ、
 そうれ、これでのりたまどんをつくって
 はらいっぱいになるがいいぞ、
 わはははははははははっ」

のりたまどんを手にして青年は、ふしぎな大男が消えていった
虚空を、いつまでも、いつまでも、見つめているのでした。
それは誰にでもある若き日の夏の思い出なのでした。

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のりたま@泣ける話じゃのう