私がロシアと中国を仮想敵国として見なすとの記載をした事に関して反応された記載らしきものがあったので補足しておきます。
 先ず、個人的な思考とすれば多少右寄りである事は否定しません。此れは育った環境にも左右されるでしょうが、通常自らの国のあり方を考える人は多かれ少なかれ右寄りの思考を持っています。多分その範囲だとは思いますが・・・

 次に中国とロシアは一度も日本を占領した事が無いとの記述は確かにそうですが、正確に言えば歴史上したくても出来なかったと記述するべきと思います。 ロシアの南下政策を言うまでもなく、第二次大戦時に北海道割譲を参戦条件として要求し、停戦後南千島を武力攻撃し、占領している事は事実です。此れが正常な状態と思うならば認識を疑います。
 中国に関しては、どの時点での中国を指して言うのかとの問題も有りますが、近代史に於いては外に侵出する力は存在しませんでした。武力に関して判断するだけでなく、中華思想が現在の共産中国(古い表現で言えば)にも生きており、最近の言動は特に顕著です。

 仮想敵国との表現は、友好国に対しても使用する場合もあり、決して不適当な表現とは思いません。 地理的にも物理的可能性としても武力攻撃を受ける可能性の有る国は総て仮想敵国と言えますが、当面最も現実的な国を想定します。
 軍備費用を挙げられていますが、軍備に要する費用は計算出来ても、戦争はその国の継戦能力を想定して意志決定がなされるもので、鉱工業生産力、GDP等で判断します。その意味では費用の算出は意味を持ちません。
 但し日常的な備えは相対的なプレゼンスを維持する為の費用として判断します。その意味では相手側の戦力に対抗する戦力を定めて費用計算となります。日本は直接的な防衛費をGNPの1%未満としており、此れはある意味、この範囲での軍備を持っている事を知らせる意味もあります。
 仮想敵国と言う文言に反応されたのであれば本意ではありません。対抗する国の戦力評価をを仮定してとの意味です。
 最も、中国とロシアは友好関係を何時でも覆す恐れが最も強い国との認識は変わりませんが。

 占領政策云々の記述に関しては、日本人の国民性に起因する要素が大きく、若し天皇制の維持が無ければ成功したか否か疑わしい面は大きいです。終戦時には既に冷戦は始まっており、西側に組み込まれた事も、反共産思想の浸透した日本人には、相対的に見れば良い方向に作用したと言えます。 
 他の占領政策との比較をしておられますが、有る意味比較対象にはならないかも知れません。この事は対戦相手が旧来の友好国であり、双方に相手を理解する人材が豊富であった事、占領政策に関しても日本側の意見を多く尊重している事等、終戦時から独立を意識して行われた占領であり、長期間の占領を意識していなかったと言えます。
 現在のイラクを見れば判り易いと思いますが、その国の指導者、中核官僚そ阻害し、且つ相手国の国民性、文化を理解出来ない状態での占領は成功しません。 若し米国がフセインの処遇を違った形で行っていたら、案外今頃は米軍の多くは撤収できていたかも知れません。
 日本軍も中国戦線、南方戦線では宣撫工作を行っています。その工作が比較的成功している地域は外交と連動した作戦地域であったことを考えると、相手国が如何なる状況であれ、国としての認識を持った国民が多く存在する事と、占領側の人文知識が左右すると思います。

 日本人はアジアの一員として反省しなければならないとの記述は意味不明です。
 戦争に対しての反省ならば、アジアの文言は不要ですし、脱欧入亜を指して言われるので有れば、今頃ナンセンスな話です。

 米軍基地提供は米軍の肩代わりを自衛隊が行われるだけの能力が無ければ不可能ではないでしょうか。 確かに他国の軍隊が駐留し中継基地として使用する事は好ましい事ではありません。
 只、安保当初の供与艦艇、飛行機、の時代から脱却し、相互互換の時代に入りつつある状況は感じます。その意味では見直しが必要になると思いますが、如何なる国も単独での国防を考えられない時代ですので条約解消は有り得ません。

 最後にロシアや中国との外交関係が無い訳ではありません。信頼する相手としては未だ数十年以上必要だろうと思います。